日本のビジネス会議は、「調和」「敬意」「合意形成」といった文化的価値観に根ざしています。提案の下準備を非公式に進める「根回し」、関係者全員の同意を得る「稟議」などのプロセスは、日本企業の意思決定において欠かせない存在です。
ファシリテーターが直面する3つの課題
- 会議の目的が多様
戦略会議や業務報告会など、目的に応じてファシリテーション方法を変える必要があります。 - 上下関係による発言のしにくさ
役職者がいると、若手や現場担当者が発言しにくくなる場合があります。 - 合意重視による時間の長文化
全員の納得を優先する文化が、意思決定のスピードを遅らせることもあります。
効果的な会議ファシリテーション戦略
徹底した準備で差をつける
- アジェンダの事前配布：明確な議題と目的を事前に共有することで、参加者の準備を促進します。
- 根回しの実施：関係者に事前に主なポイントを説明し、スムーズな合意形成につなげます。
包括的で安心できる場づくり
- 視覚的ツールの活用：ポストイットなどでアイデアを「個人から切り離す」ことで、発言しやすい環境に。
- 階層別のセッション設定：役職に応じたミーティングを設けることで、率直な意見交換を促進。
時間管理の工夫
- タイムスロットの設定：各議題に持ち時間を割り当てておくことで、無駄な延長を防ぎます。
- タイマーの活用：進行状況を可視化し、時間への意識を高めましょう。
反省と改善を継続する
- 会議後の「反省」：何がうまくいったか、次回改善すべき点は何かをチームで共有します。
会議進行の基本ステップ7
ステップ1：目的とゴールを明確にする
- 「この会議はなぜ必要か？」を明らかにする
- 成功の定義（達成すべき成果）を決める
ステップ2：簡潔なアジェンダを作成・共有
- 議題、発表者、時間配分をリスト化
- 資料を事前に配布し、予習を依頼
ステップ3：会議冒頭の環境設定
- 参加者に挨拶、会議の目的とアジェンダを確認
- 「時間厳守」「発言歓迎」など軽いルールを設定
ステップ4：議論をリードする
- アジェンダ通りに進行
- 全員に発言機会を与え、脱線時には話を戻す
ステップ5：要点の確認と整理
- 決定事項や共有内容をその場で確認
- 次のアクションと担当者を明確にする
ステップ6：明確に締めくくる
- 全体のまとめと感謝の言葉で終了
ステップ7：振り返りと改善
- 自身や参加者に「何が良かったか・改善点は何か」を問いかける
- 必要に応じてフィードバックを収集
参考書籍・リソースのご紹介
さらにスキルを高めたい方には、『世界で一番やさしい会議の教科書』（大和書房）などの実践書がおすすめです。
この書籍では、「話し方の上手さ」ではなく「準備」と「心構え」が会議成功の鍵であると説いています。
まとめ：日本企業で効果的な会議を実現するために
日本企業の会議では、文化的な背景への理解と、全員が安心して意見を共有できる場づくりが不可欠です。
入念な準備、包摂的な進行、そして継続的な改善を通じて、誰もが自信を持ってファシリテーションできるようになります。
組織のコミュニケーションの質を高めたい方にとって、ファシリテーションスキルは必須の武器となるでしょう。
